2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「Sort of」の感覚

スラップ・ハッピーは、いくらでもそれを表す記号を連ねることができるバンドである。 クラウトロック、アヴァンポップ、ジャーマンプログレ、はたまたカンタベリー・ロック……これら記号の集合体から浮かび上がるのは、「要するにフツーのロック、ポップスじ…

名盤「Vauxhall and I」

モリッシーのスミス解散後のキャリアは、一言でいえばジョニー・マーへの未練をかたちにしていくことだった。 モリッシーという異形の存在が初めて手にしたパートナーであり、生身の理解者であったマーを失ったことは、彼にとって取り返しのつかない損失とな…

「SPILT MILK」の30年

ジェリーフィッシュの「SPILT MILK」発売から30年が経った。 この30年で私がもっとも聴いたアルバムは何だろうと考えた時、ハイラマズの「サンタバーバラ」同じく「ギデオン・ゲイ」、スティーリー・ダンの「aja」、キリンジ「ペイパー・ドライヴァーズ・ミ…

モテないからモテる、モテるとモテない

表題、まことにやっかいな設定である。 率直に言って私は子供時代からモテる男だったと思う。 が、特にそれが具体的成果として計上される思春期以降、「世間」と対峙せず「世界」ばかりに目を向けていたこともあり、何の実績も伴わないモテ期を過ごした。 長…

世間知らずの世界

自分を取り巻く環境として、世間-社会-世界の三層構造を提起した。 この度、この論の更新を痛感する出来事があった。 先日、東京在住の高校同窓であるFくんと、同じくKくんと会った。 Kくんはおなじみの盟友であるが、Fくんはなんとこの歳での上京というレ…

キリンジの要素

キリンジはその長いキャリアの中で常にハイクオリティな作品を発表し続けている稀有な音楽集団だが、やはり私が繰り返し聴いてしまうのは、泰行在籍時の初期~中期が多い。 一般にソングライターが2人以上いるバンドは寿命が短い。 ビートルズ然り、バッフ…

人口構成と消費

1976年に生まれたということは、実質的な記憶を伴う昭和時代を過ごし、平成時代に若者として社会に位置し、そして中年として現在を生きていることになる。 この間、この国の歴史はドラスティックに変わった。 もちろん、戦争に匹敵する出来事は起こらず平和…

2023年のバッファロー

今年、といってもあと1カ月あるが、アルバム単位で一番よく聴いたのはバッファロー・スプリングフィールドの1stだったように思う。 それまでは「ラストタイムアラウンド」のほうをよく聴いていたのだが、やはり1stの意気込みというか気合は素晴らしい。 と…

穏健に徒手空拳

何がしかのかたちで社会参加をしている限り、人は歳を重ねるごとに何かを獲得していく。 それは決して喜ぶべき、歓迎すべきものばかりではなく、必ずしも他者からの評価を得られるものばかりでもないが、その獲得したものをベースに自分の身の振り方を考える…